■ ほりたんの情報教育事件簿         堀田龍也  



 ほりたんの情報教育事件簿(その7) ―海外編4―
                      KayooMag#006(2000/04/04 )掲載


  
 ハローハロー。英国駐在のほりたんです。

 英国(The United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)は, その英語名称からもわかるように,イングランド,スコットランド,ウェール ズ,北アイルランドの大きく4つの個性を持った「国」(英国の人たちは「co untry」という単語を使っています)が連合で王国を形成しています。そのため ,教育制度は4つの「国」ごとに少しずつ異なっています。
 連合王国の政府には,日本の文部省にあたる教育雇用省(DfEE)があり,こ こがナショナル・カリキュラムを出しています。前回もお伝えしたように,現 在もすでに「情報」という教科があり,小学校低学年から高校まで必修となっ ていますが,2000年8月からはナショナル・カリキュラムが改訂され(ht tp://www.nc.uk.net/),「情報コミュニケーション」(Information and Com municationTechnology)という名称となります。
 これに向けて,教員研修に拍車がかかっています。いろんな学校の先生に, 「あなたはどうやってICTを学びましたか」と聞いてみていますが,ほとん どの答えは,「自分で学びました」です。「教員研修はありますか」とも聞い ていますが,概ね「ありますが・・・でも,ほんの少しです。一斉ではありま せん。」という回答になります。

 ちょうど北アイルランドの Ballyclare Secondary School の視察に行った際 に,情報教育の教員研修について話を聞くことができました。この研修は,コ ンピュータ操作に慣れるというスキルレベルの研修ですが,次のような手順で 行なっているそうです。

 (1)係の先生が,見ればわかる・できるというマニュアルを作る。
 (2)先生方に配布する。
 (3)一定期間を与える。
 (4)チェックリストを配布し,どこができた/できないかを聞く。
 (5)係の先生たちが,それを回収し,研修計画を立てる。
 (6)研修メニューが提示され,個別/小集団で研修が行われる。

 これを見てもわかるように,基本的に「自分で学ぶ」ような設計になってい ます。英国の教員研修は,それが資格や学位に結びつきやすいように制度化さ れており,給与や人事にダイレクトに反映されるので,先生方は自立的に研修 しているようです。

 日本はどうなの?と考えたときに,頭をよぎるのは,「忙しくてやる暇がな い」「誰も教えてくれない」という悲鳴にも似た嘆きの声・・・

copyright(c) 2000-2002 火曜の会