■ ほりたんの情報教育事件簿         堀田龍也  



ほりたんの情報教育事件簿(その6)―海外編3-- 
                      KayooMag#005(2000/03/21 )掲載


  
  ハローハロー。英国駐在のほりたんです。
 今回は,英国の情報教育について,ちょっとだけご報告しましょう。  

日本の文部省にあたる英国の政府機関は「教育雇用省(Department for Edu cation and Employment)」です。だいたい,「教育」と「雇用」が合わさって いるあたり,前号の「work」の話に通じるものがあります。
 この国では,すでに独立教科「情報」が小学校低学年からあります。ちょう どカリキュラム改訂時期にあたり,2000年8月から実施される新しい学習指導 要領(National Curriculum:http://www.nc.uk.net/)が動き出しますが,こ れからは,「Information and Communication Technology」と標記することに なります。これまでの標記に,さらに「コミュニケーション:Communication」 が加わったというわけです。

 英国の北アイルランドでは,小学校高学年の「情報」の学習内容はこのぐら いのレベルが期待されています。

レベル4(キーステージ2終了時の期待段階,日本の小学校終了時)
 異なる形式を組み合わせて,他の人に効果的に伝えることができる。集めて 保管した情報に,それぞれの考えで加工を加える。情報にアクセスしたり情報 を収集したりする際に,整理枠を用意して分類することを理解する。自分たち の主張を表すために必要な情報とそうでない情報があることを認識する。あら かじめ制御の方法を組み込んでおいたり,データを計測することができる。そ の結果をもとに,予想したり,意思決定を行ったりする。これらの方法が,情 報手段を使った場合とそうでない場合とでどのように異なるかを比較する。

 概して,小学校段階では,日本で言う「情報活用の実践力」を期待していま すが,日本よりコンピュータやネットワークが全面に出ている印象です。中学 校段階では,「情報の科学的な理解」のうち,日本では高校「情報」で想定さ れている内容に踏み込んでいます。
 また,これらのレベルにどのような方法で達するのかは,各地区の文部省お よび学校カリキュラムに強く依存しています。例えば,北アイルランド地区で は,「情報」は小学校段階では独立教科にはしておらず,各教科の中にクロス カリキュラムとして織り込まれています。各教科の授業の中で,積極的に情報 手段を利用しながら,上記のレベルを満足する学習活動を行うこととなってい るというわけです。

 前号で,学校評価の情報公開の記事を載せましたが,学校での教育活動がき ちんと達成されたかどうかが公開されているわけです。学校査察制度や,大学 入試制度も,日本よりも厳しい印象を受けます。

 日本の教育は,単に甘えた活動に向かってしまわないようにしないといけな いな・・・そんなことを感じるほりたんでした。


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